仏さまからのプレゼント

芳仙寺門徒 西條繁明

 新型コロナウイルス感染症による度重なる延期で、久し振りに6月8日、所属する宗門の「門徒のつどい」が開催された。松本市北部の寺院(宝栄寺)が主会場で、時節柄もう一ヶ所木曽に近い塩尻の寺院(専念寺)を会場にオンラインにて開かれました。

私はこの仏事の開催が松本市北部の寺院に決まったときから、何となく胸騒ぎをしておりました。当日、早めに会場へ出掛け、駐車場に立ち、皆さまの誘導ご案内をしました。

 一段落した頃、寺院役員の方から「駐車場になっているこの場所は、平成14,5年頃まで保育園がありましたよ」と聞かされ、「まさか、あの保育園が」、「だいぶ前の記憶が」事実と確認されびっくりしました。おおよそ80年前、松本旭町国民保育園に入園し、そして卒園した私の心は、あっという間に園児の頃に戻っておりました。当時の見るからに古びた園舎の風景、一緒に通った友達や先生方の顔が、そしていろいろな思い出が走馬灯のように次から次へと浮かんでは消えて行きました。

 しばらくぼんやりとたたずんでいると、背後から園長先生が「元気?」と声を掛けてきました。振り返ると、はっとわれに返り一瞬の出来事で、そして「現実!」でした。先生は少し怖いところがありましたが温かみのある方で、お名前と顔をしっかり覚えています。

 昭和18(1943)年から丸4年間もお世話になりました場所(ところ)に立っていました。これは私に下さった「仏さまからのビッグなプレゼントかな!」。不思議なご縁である。今でも名残りのある通園していた頃の園に通ずる路地を確認すると、つい口元から「かきねのかきねのまがりかど、たきびだ、たきびだ、おちばたき…」と習ったばかりの歌を、寒い日、手をこすりながら、唄って家に帰った頃を思い出しました。楽しいひと時でした。家まで遠かったなあ…。(この年齢まで丈夫で長生きしていれるのも、この頃から自然に鍛えていたのかも!)

 短い時間の出来事ではありましたが、何十年もの長いドラマを見た思いだった。お寺からの帰りに、わざわざ当時住んでいた家の前を通り、家路についた。  合掌

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