妙勝寺前住職 石川 一登

 毎月の同朋会のほかにボーイスカウトの仏教章研修会をやっているが、私は教化活動の在り方にいろいろ示唆を受けている。
 先日もある高校生から、「お経は何のためにあげるダイ」と質問が来た。「生きているもののためだ。」と答え、「私たちは多くの人に支えられ生きている凡夫であることを思い、最終的には仏に感謝することである。」とした。
 元来ボーイスカウトは「奉仕活動」を目標としている。そのために自らの在り方を思い、他に対する奉仕する精神を培うものであるとする。
 小学校低学年のカブスカウト隊の「さだめ」には、「自分のことは自分でします」とある。これは単に食事や着替えを自分でやるだけでなく、人にお世話をかけていることや、自分の言動に注意することがいかに大切か。自分を育ててくれた人がいかに多いか。どうやって恩返しをすればよいのかを考えねばならぬのである。
 とかく巷間には一定の技能などを持つと自分ほど偉いものはないというような不遜な態度を見せ、人を誹謗することがあることは残念である。
 若者を一人でも多く「自分」をわきまえさせ、世のために「奉仕」する人間を育成したいと思うことである。

2009年3月発行「共に歩まん」より